やってはいけない10ヶ条
第2条
石けんに重曹を混ぜる
洗濯用の石けんに重曹を混ぜたら、石けんの洗浄力を落とすだけです。
その理由は、重曹の水溶液のはpH8.2(2%、20度)、洗濯用石けんのpHは10前後だから、石けんのアルカリを弱めてしまいます。
まして重曹は非常に溶けにくい。
アルカリを弱くするということは、洗浄力を落とすということです。通常の洗濯に適したpHは9.0から10.5。そもそも洗う目的は汚れを取ることだから、わざわざ洗う力を落とすとはおかしな話です。
重曹には水軟化(水中のカルシウムやマグネシウムを取り込んで、水の硬度を下げ、洗浄力の低下を防ぐ)作用があって石けんの洗浄力を高める
などとまことしやかにいう人が結構多いが、肉や山菜とごっちゃにしてはいけません。
重曹は水を柔らかくはしません。
専門書で調べれば、重曹には水軟化作用はほとんど期待できないことが分かるはず。
辻薦著「工業洗浄の技術」(地人書館)には、重曹について「pHが低く、洗浄用アルカリ剤としての用途はうすい」とされ、同書に記載されている表「各種無機ビルダーの性質」においても、炭酸水素ナトリウム(重曹)の「耐硬水性」は最低ランク。
また、洗浄科学の代表的な文献である阿部芳郎著「洗剤通論」(近代編集社)には「炭酸水素ナトリウムは硬水を軟化しない」と明記されています。
ただしウールやシルクなどのデリケートな生地を洗うときに洗濯用の石けんに重曹を混ぜれば、重曹は洗濯液をアルカリ性に保つ緩衝剤として働きます。
しかし、液体石けんに重曹を混ぜると固まってしまうので、先ず洗濯液に重曹をよく溶かしてから液体石けんを入れるのがコツ。
洗濯液をアルカリ性にするのが先決だから、逆はダメ。