やってはいけない10ヶ条
第10条
過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)に石けんなどの有機物を混ぜる
混ぜたらダメ
「トリプルパワーの相乗効果」で「汚れがごっそり取れる」
界面活性剤(無添加粉石けん)…洗濯槽についている汚れの吸着力を弱めて落としやすくする力
重曹…石けんの効能を持続させる力
過炭酸ナトリウム…発泡作用で汚れを引きはがして浮かび上がらせる力
こんな謳い文句の洗濯槽クリーナーを使っていませんか?
3つの成分はメーカーの謳い文句通り働くのでしょうか。
残念ながら、そのようには働きません。
まず、重曹(pH8.2)は過炭酸ナトリウム(pH10.5)のpHを下げ、酸化力(汚れやカビを分解する力)を下げる。
石けんを混ぜれば、過炭酸ナトリウムが石けんを分解し激しく発泡するが、その分過炭酸ナトリウムの酸化力は消耗する。
要するに派手に発泡し汚れが浮いてくるから、いかにも「ごっそり」取れているかのように見えますが、実は過炭酸ナトリウムの優れた酸化力を石けんと重曹で足を引っ張るタチの悪い騙しの泡パフォーマンス商品です。
40℃のお湯1Lに過炭酸ナトリウムのみ(A)と、
石けん入りの洗濯槽クリーナー(B) 各10gを溶かした5分後の画像です。
(A) 過炭酸ナトリウムには分解する対象がないため、発泡せず酸素を出し続けている。
(B) 過炭酸ナトリウムが石けんに反応して発泡し泡の層ができた、酸素が無駄に使われた現象。
過炭酸ナトリウムのみの酸素系漂白剤と界面活性剤の入っている酸素系漂白剤との酸素の発生を比較した実験結果があります。
佐賀大学文化教育学部研究論文「過炭酸ナトリウムを利用した実験教材」(発行年2013年08月30日)によれば、その実験結果は、「過炭酸ナトリウムの他に界面活性剤、アルカリ剤(炭酸塩)、漂白活性剤、安定化剤、酵素などが入っている酸素系漂白剤は、特に界面活性剤が酸素発生時に多量に泡となり、酸素がうまく発生しない」と指摘しています。
一方、過炭酸ナトリウムのみの酸素系漂白剤は、上記界面活性剤などが添加されたものと比べて酸素の発生量ははるかに多い、という結果です。
上に取り上げたメーカーは、やたら「ごっそり取れる!」を連発しているが、掃除の後洗濯機を分解してみれば、汚れが「ごっそり残っている」ことの方が多い。
しかし、一般家庭で掃除機を分解してクリーニング効果を見ることは難しい。だから、もっともらしい謳い文句のクリーナーが売れるのだろうと思います。
はっきり言えることは、過炭酸ナトリウム単独で使った方がもっとごっそり取れます。
パナソニック社製洗濯機の取扱説明書の「洗濯槽クリーナーで洗う」のページには「市販の界面活性剤入りの洗濯槽クリーナーは、泡立ちが多いために途中で排水し、十分な効果が得られない場合があります。」との注意書きがあります。
取扱説明書で推奨する大手家電メーカーの純正の洗濯槽クリーナー(塩素系)の成分は界面活性剤が配合されておらず、次亜塩素酸ナトリウムと防錆剤としてのケイ酸塩のみです。
過炭酸ナトリウムの間違った使い方は、資材だけでなく、さらにお湯、そして時間までも無駄にしてしまいます。
酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)に石けんや重曹を混ぜてはいけない。
泡パフォーマンスに騙されないで!!